1.京都大学研究用原子炉の概要


京都大学研究用原子炉(KUR:Kyoto University Reactor)は93%の
高濃縮ウランを燃料とした軽水減速のスイミングプ−ル系タンク型原子炉
であって、定格出力は、5,000kWである。KURは週単位で運転され
通常火曜日の昼ごろより金曜日の午後4時まで(5,000kWで約75時間)
連続運転が行われる(1週運転単位)。炉心にはMTR型の燃料要素が20
数本装荷されており、次のような照射設備及び実験設備が配置されている。

圧気輸送管(Pn) ----- 3系統あり、ホットラボラトリーで試料を炉心へ出し入れ
出来る。照射試料は別系統の圧送管
によりトレ−サ棟に送ることができる。
水圧輸送管(Hyd) ----- 炉頂サブ−プルより炉心中心部へ水圧で
試料を出し入れできる。照射後試料は別の輸送管で
ホットケ−ブへ送り出せる。
長期照射(炉心内) ----- 試料を燃料要素と同じ位置で照射し、炉心配置変更の際に試料の出し入れを行う。照射後試料は
燃料輸送管を通してキャナルを通して、ホットケ−ブ
へ送り出せる。
傾斜照射孔(Sl) ----- 炉頂サブプールより炉心側面へ至る直径100mmの傾斜
した照射孔。中には水が入っているので、水中照射の雰囲気となる。
精密制御照射管 ----- 炉頂固定橋に設置されたSSS試料取扱部より炉心「い−7」に挿入されている内径6cmの
(SSS) アルミ合金製の照射管。先端は、内径4cmに絞られている。ヒータで制御された高温照射設
備である。照射雰囲気は、減圧されたヘリウムである。
重水熱中性子設備 ----- 混入γ線の少ない良質の熱中性子源、直径55cmの
(重水設備:D2) ビスマスの中性子取り出窓があり、2.4x2.4x2.4m
の大きな重コンクリ−ト製照射室付。運転中に試料の出し入れ可能な
レ−ル式の照射装置の他、医学生物関係の基礎実験用装置がある。
黒鉛熱中性子設備 ----- 冷中性子源が設置されており、これに中性子導管
(黒鉛設備:TC) が併設されている。また、圧気輸送管(TC−Pn)
も併設されている。
実験孔(B−1) ----- 直径約200mm、ビ−ム実験用(主にチョッパ−用)
実験孔(B−2) ----- 直径約150mm、ビ−ム実験用(中性子回折.TAS用)
実験孔(B−3) ----- 直径約150mm、ビ−ム実験用(中性子回折.4CND用)
実験孔(B−4) ----- 直径約200mm、ビ−ム実験用(ス−パ−ミラ−中性子導管用)
実験孔(E−1) ----- 直径約100mm、重水タンクに向かった熱中性子照射孔
実験孔(E−2) ----- 直径約100mm、重水タンクに向かった照射孔
(主に中性子ラジオグラフィ−用)
実験孔(E−3) ----- 直径約150mm、ビ−ム実験用(ニッケルミラ−中性子導管用)
実験孔(E−4) ----- 直径約150mm(低温照射用)
実験孔(T−1) ----- 黒鉛設備内を貫く短時間照射用繰り返し型
圧気輸送管(T1−Pn)とオンライン同位体分離装置
(ISOL)が設置されている。



KURの実験設備・照射設備(水平断面図)