精密制御照射管(SSS)

a.構造及び特徴


 ヒーターにより試料温度をコントロールしながら、照射できる高温用材料照射装置。中性子スペクトルを照射位置、反射体の材質を変えることによって可変できる。また、照射位置の容積が大きく(φ38mm、高さ60mm)、信号線を炉頂から導入できるので照射下での動的試験も可能。



 【図1】炉頂に設置された精密制御照射管の概観写真
 (設置工事時の写真であるため制御棒は外されている)



熱出力5000kWにおける代表的な中性子束等は次の通り。

中性子束密度                      
 中性子エネルギーE ≦1 eV: 2.2×1013n/cm2・s
      〃   〃≧0.1MeV:9.4×1012 n/cm2・s
  全中性子束密度      :3.8×1013n/cm2・s

核発熱(Al換算)量:1W以下、0.25W以上     
【図2】精密制御照射管(い−7)の中性子スペクトル

b.利用方法

  SSSの照射計画は、半期ごとに共同利用者の要望等を考慮して照射条件が予め決められている。利用を希望する実験者は、計画表に定められている提出期限(原則として照射希望日の3週間前)までに、(1)SSS照射記録、(2)誘導放射能計算書、(3)RI届、(4)試料、(5)試料リストを担当者(SSS保守管理責任者又は保守管理者)に提出する。担当者は、必要書類をとりまとめ、実験記録とSSS計画書を添付して中央管理室に提出する。照射及び照射中の監視は、当番者(保守管理者+当番有資格者)が行なう。照射は、複数の利用者の試料をまとめて相乗りで実施される。

c.試料の取扱い

 試料は、減圧されたHeガス雰囲気中で照射されるため、酸化の有無、融点、昇華の可能性等の物性値を照射記録に明記しておく必要がある。試料は、予め担当者が指示した形状にまとめ、銅箔でパッキングして提出する。提出された試料は、担当者が試料容器に詰め、カプセルにセットする。試料容器には、複数の実験者の試料が詰められているので、間違いを防ぐために銅箔表面に識別の記号を刻印しておくこと。また、試料リストにはパッキング内の試料の形状、物質名、パッキングの順番等を記入して提出すること。

d.カプセルの開封

  照射された試料は、カプセルを一定期間冷却した後、カプセル操作ステーション内でカプセルから試料容器ごと取出し、ホットケーブのセル内で解体され、銅箔の梱包状態で実験者に返される。この時点で試料は、RIとなるので、RI届が必要である。

e.異常時の措置

 照射中の監視は、当番者がおこなっている。異常が発生した場合、照射を中止する場合がある。

f.照射の条件

  • 照射温度
 カプセルを工夫することによって種々の温度条件が可能である。規制値は、カプセル表面温度500℃以下である。運転時の原子炉の冷却水の温度は、55℃−60℃であるので、低温側は、100℃程度。高温側は、カプセル表面との間に断熱層を設けることにより試料温度で500℃を超える高温領域までの照射が可能。(500℃以上の高温照射を希望される実験者は、担当者に相談のこと。)

  • 照射時間
 原子炉運転中の途中取出しと週をわたる照射ができるので、1013−1019 n/cm2の範囲の照射が可能である。

  • その他
    長期にわたる照射の場合、実験者に当番者として監視の分担をお願いする場合がある。
        照射下の動的試験については、担当者と十分相談の上実施されたい。