17.黒鉛設備圧気輸送管(TcーPn)
17−a.構造及び特徴
炉心タンク内の圧気輸送管の照射と比べて、より軟らかい中性子スペクトル場で
の照射を簡単に行う目的のために設置された。照射用カプセルは炉心タンク内の
圧気輸送管と同一のもの(3−e.参照)を用い、カプセルの送迎は炭酸ガスの圧力
を利用する。照射中のカプセルの炭酸ガスによる強制冷却は行わない。
特徴としては複数のカプセルを同一時間帯に挿入し、最底部のカプセルを残したまま
、それより上部のカプセルを取り出すことが可能なように設計されているが、当面は
同一時間帯に照射できるカプセル数は2個までとする。最長照射時間は当面一週間
(約75時間)とする。カプセル挿入及び取出し時のバルブ類の開閉はパソコンに
より自動制御され、また、照射ステイタスはパソコンのVDT画面に表示される。
圧気輸送管系統の構造概略図を図17−1,2,3,4,5に示す。
17−b.照射上の特性
5000kW運転時での照射場での諸特性は下記のとうりである。
熱中性子束φth |
=4x1011(n/cm2/sec) |
熱外中性子束φepi |
=6x108(n/cm2/sec) |
高速中性子束φf |
=8x107(n/cm2/sec) |
照射中雰囲気温度 |
運転初期40°C |
|
運転終了前55°C |
電離放射線率 |
D=2x105R/hr |
圧気輸送管(Pnー1)と比べるとφepi/φth比で1/20、φf/φthで
1/1000である。なお、D/φth比は同程度である。
17−c.使用上の注意
カプセルは2個まで同一時間帯に照射できる。上部のカプセルは下部のものより
常に先に、あるいは同時に取出すことができるが、下部のカプセルのみを優先的に
取出すことはできない。
また、すでに下部にカプセルがあり、その照射の残り時間が4分以下の場合は、
カプセルの挿入を含めて全てのキーボード操作が出来ないようにプログラムされている。
17−d.照射の手順
基本的にはパソコンのVDTの表示に従って、キイーを押せばカプセルの送迎が
できるようにプログラムされている。
1).照射可能であることが確認できれば、図17−4に示すステイションの
挿入孔の蓋を開けてカプセルを挿入する。
2).パソコンの表示を見ながら
氏名:
USERコード:(所員:RI管理コード、共同利用者:採択番号)
照射番号:
照射時間:(100秒なら100と入力、右へカーソルを移動すればhr,min,sec
単位で入力すことができる)を入力する。
3).パソコン入力が終了すれば、ピストンの移動、バルブの開閉が自動的に
行われてカプセルが照射位置まで搬送される。
4).マイクロホンのスイッチをONにしておくと、カプセルが照射位置に
到着したかどうか音によって確かめることができる。
5).照射終了時刻になるとカプセルは自動的にPnステイションのフード
内に返送される。
6).サーべーメーターで誘導放射能を測定し、キーボードのファンクション
キー「記入」を押し測定距離及び放射線強度を入力する。
7).何らかの理由で照射中の全カプセルをただちに取出す必要が生じた時は、
制御板の蓋に取り付けられているマニュアルリターンボタンを押せば、パソコンの
制御とは無関係に全カプセルがフードまで返送される。
8).氏名、照射番号、照射開始時間、照射時間及び誘導放射線量は全てディスク
に記録され「動作」を押せばその内容を見ることができる。
9).炭酸ガスの圧力が不足の時はVDTに赤で圧力低の表示が出るので、その旨
ホットラボ部員に連絡する。
10).その他のエラーメッセージがでた場合や不明な点があればホットラボ部員
に連絡する。
なお、その他の事項は通常の圧気輸送管に準じる。使用経験積んだ上で改定する
予定である。