13.4軸型中性子回折装置

4CND(B−3)


13−a.構造及び特徴


B−3の実験孔に設置された4軸型の単結晶専用中性子回折装置である。
1)モノクロメ−タ部、2)4軸ゴニオメ−タ部は炉室内に、また、3)
測定制御部は、炉室外に設置されている。

1)
モノクロメ−タの平常時はCu(220)を用いて波長約1Åの単色中性子線を
取出している。この場合の波長分解能は△λ/λ〜0.01、またモノクロビ−ム
線束は〜3x105n/cm2/sec、ビ−ムの断面積は4x4cm2程度であるが、
炉心配置の状態により、これより若干劣悪となることが多い。また、実験孔の
関係で2θ<5.0以下の範囲の測定では、寄生散乱(Parasitic scattering)に妨害
されるので、デ−タの信頼度は低い。構造上、モノクロビ−ム波長は連続可変で
あるが、通常は1Åに固定されている。変更する場合は、調整のためにマシンタ
イムの約1/2日が必要となる。

2)
ゴニオメ−タは2θ、ω、χ、φの4軸4自由度からなり、χサ−クルは上半分
開いているのでクライオミニ(10K〜室温)、ヒ−タ−(800°C迄)等のアクセ
サリ−が容易に設置できる。χサ−クルが半分開いている部分はFriedelの法則
が成り立つ限り、3次元のデ−タが試料の付け替えなしで集められるよう、制御
用コンピュタ−のソフトでサポ−トされている。

3)
測定制御系は炉室外からすべての操作が行えるようになっていて、アフタ−ジョブ
はオフラインであるが、はパソコンで行うことが出来る。




13−b.装置使用上の注意


1)
装置自体は4サ−クル装置として最も便利にできているが、実験孔の性能上、
ビ−ム線質が若干悪いので、粉末や液体試料の回折図形は精度が悪くて解析
しづらい。単結晶試料もできるだけ大きいもので、尚かつ後で吸収や消衰効果の
補正計算がやりやすいよう、球状又はそれに近い形に整形したものを用いること
が望まれる。結晶軸の方向はあらかじめ判明していることが望ましい。


図13−1
4軸型ゴニオメ−タの概念図



図13−2
4軸型ゴニオメ−タのχ軸の上半分が開いた状態