9・水平照射孔(E-2)

(中性子ラジオグラフィ設備)



9-a.構造及び特徴


 重水タンクのほぼ中央に向かって開いている直径10cmの照射孔である。
この照射孔は炉心タンクを直視しないので、非常にガンマ線の影響が少なく、熱中性子線のカドミュウム比が大きくて、中性子ラジオグラフィ実験設備の標準場として利用されてきた。 図9-1に主要断面図を示す。
  平成8年度に医療照射を目的とした重水設備(D2O)の大改造工事が実施され、先端部に中性子のエネルギースペクトルを変化させるためにスペクトルシフタが内蔵され、連続運転中にこれらを操作することにより中性子照射条件(照射モード)を変化させることが出来るようになった。 この改造によって、E−2水平照射孔には多大の影響がおよび熱中性子束密度は1/3.75倍に減少し、通常のフィルム撮影時間15分が約1時間必要となり1日あたりの撮影枚数が大幅に減少した。照射時間の延長によって、当然ガンマ線のカブリも増加している。さらに運転中の照射モードの変更によって熱中性子束密度に最大5%程度の変動が生ずるので定量実験には注意が必要である。
 

図9-1 E-2水平照射孔(ラジオグラフィ設備)の概略図





・D2O タンク表面の 5,000 kwにおける中性子束等は大体次のとおり。
(注:重水設備改造前の初期特性資料より)

熱中性子束   φth=8.8x1010 n/cm2/sec 
熱外中性子束   φepi=6.4x107 n/cm2/sec 
高速中性子束   φf=1.4x106 n/cm2/sec 
 ガンマ線線量率   Dγ=1x104 R/hr 
金のカドミ比   Rcd= 約 2.5 






9-b.使用状況


 主として中性子ラジオグラフィ等を目的とした申し込みが多く、よく利用されている。
その特性を表 9-1 に示す。熱中性子照射も可能である。



     表 9-1 中性子ラジオグラフィ設備の特性

 01. Reactor / Power   KUR / 5000  [KW] 
 02. Peak φth in core   6.0x1013 [n/cm2/sec] 
 03. Range of L  500 [cm] 
 04. Standard L/D  100  
 05. φth at film   3.2x105 [n/cm2/sec] 
 06. Gamma dose rete   4.2 [R/hr] 
 07. Cadmium ratio  400  
 08. Neutron / gamma ray ratio   1.1x106 [/cm2/mR] 
 09. Film size available  16 [cm in dia] 
 10. Beam uniformity  +3.5 [%] 
 11. ASTM-75 specification  85-12-11  
 12. ASTM-81 (NC-H-G)  79-7-7 (Categorie ・)  



19-c.実験と操作



 中性子ラジオグラフィ実験及び照射試料の設定、取り出しは、原則として実験者が行う。
所外者の場合は、所員(所内連絡者等)の立会いを必要とする。


  実験者    ・(所内連絡者等の立会い)・   試料設定、取出し 




9−d.異常時の処置



 異常事態発生の場合、KUR運転班員、中央管理室(研究炉部の設備担当者を含む)に連絡し、
その処置を依頼する。


 異常事態発生   ・   KUR 運転班員(電話2340 )/ 中央管理室( 2400 )




9−e.中性子ラジオグラフィ画像の応用例



・ライターの外観写真、X線、中性子線画像および画像処理例!


・中性子減弱計数表