6.長期照射(炉心内)



6−a.構造及び特徴



 KUR炉心内において、週単位で長期にわたり、最高12週運転単位まで試料を照射することができる。


照射用プラグ及び長期照射の炉心内での位置を図6−1・6−2に示す。

図6−1照射用プラグ

図6−2長期照射の炉心内位置





熱出力5000kWにおける代表的な中性子束は大体次の通りである。



熱中性子束φth =4.7x1013(n/cm2/sec)
熱外中性子束φepi =1.7x1012(n/cm2/sec)
高速中性子束φf =1.4x1013(n/cm2/sec)
金箔のカドミ比Rcd =〜6
照射中雰囲気温度 普通90°C
試料により数十から百度を超える










図6−3に長期照射の代表的中性子スペクトルを示する。


図6−3長期照射の代表的中性子スペクトル


6−b.使用状況


所外、所内共に利用度は普通である。(時期によってはすいているときもある。)
8本のカプセルを同時に照射できるが、この内最低3本は短期間1週または(4週
照射)用である。


6−c.試料の条件


現在は、再照射も含め取扱いの許される範囲内
では、放射性物質の照射も可能である。再照射の場合
線量の高い試料の場合は特に注意すること。
また、照射によってガスを発生する恐れのある試料
及び照射未経験試料等については、例えば、リチゥム
やホウ素及びそれらの化合物は、あらかじめPn等で
予備照射を求めることがある。ただし、過去において
KURの長期照射で経験があると認められた試料に
ついては、この限りではない。










6−d.試料の受取り


試料は中央管理室が窓口となり、研究炉部の、長期照射担当者が
検査して受け取る。郵送による試料は、照射2週間前の月曜日中
(当日が休日の場合、前週末)までに到着しているものに限り
受け取る。期限に遅れた試料の照射は、希望の期間に出来ない
場合がある。試料を郵送する場合は、このことに十分注意する。
また、放射性の試料を照射する場合は、前もって中央管理室又は
長期照射担当者に連絡を取り、その指示に従うこと。


6−e.試料の溶封。挿入。取出し


すべての担当者(研究炉部及び実験設備管理部の長期照射担当者、KUR運転員)
で行う。カプセル封入はTIG溶接法にて行うためカプセルの上端では温度が
高くなることもある。カプセル内はヘリュウムガスに置換して、溶接後ヘリュウム
リ−クテストを行う。2週間以上照射の場合は溶接部のX線透過試験を行う。
照射済み試料は、ホットケーブで切断され取り出される。
長期照射の炉心への挿入、取出しは、炉心配置変更を伴うため、原子炉運転、
実験計画調整会などで調整され、照射日を変更することがある。


6−f.異常時の処置


幾週間にもわたる照射の場合は、
担当者立ち合いのもとにKUR運転員
が途中で定められた時期にカプセルを点検する。
異常が発見されたカプセルはその段階で照射を
中止し、その旨をKUR運転員、中央管理室及び
設備担当者に報告する。










6−g.照射の条件


図6−4長期照射用二重管カプセル

1)試料容器

試料容器: 二重管カプセルを原則とする
アルミ等の金属の照射の場合
のみ一重管が認められる
図6ー4参照
材質: アルミニュウム
寸法: 内径:18mm
長さ:233mm













2)照射時間

照射は、通常1週間から4週間単位で行われ、最高12週運転単位
まで可能である。