5.傾斜照射孔(Sl)



図5−1傾斜照射孔の概略図

5−a.構造及び特徴


炉心横に設けられた直径10cmの照射孔で
中は水で満たされている。試料容器にオモリ
を付けて、ヒモとアルミニュウム線の両方で
つりさげながら照射孔に挿入する。中性子
スペクトルは比較的軟かい。

試料に熱電対、ケ−ブル等を取り付けたままで
も照射可能である。概略図を図5−1に示す。
熱出力5000kWにおける中性子束等は、大体以下の
通りである。









試料の材質、量、炉心配置等によって違うが、
熱出力5000kWにおける中性子束等は大体次の通りである。

熱中性子束φth =3.9x1012(n/cm2/sec)
熱外中性子束φepi =8.0x109(n/cm2/sec)
高速中性子束φf =4.4x1011(n/cm2/sec)
金箔のカドミ比Rcd =11
ガンマ線量率Dγ =4.1x107R/h
照射中雰囲気温度 約60°C(5000kW運転時)
特徴 運転中の試料の出入れ自由

5−b.使用状況


所外、所内共に、比較的よくすいている。


5−c.試料の挿入。取出し


原則として操作は炉頂サブプ−ルより実験者が制御室
と十分な連絡を取りながら行う。所外者の場合は、所員
(所内連絡者等)が立ち会う。また、試料の取出しには
放射線管理の当番者も立ち会う。
試料によってはサブプ−ル水面上の放射線量率が大きく
なることがあるので注意する。試料以外の充填物や
重りの誘導放射能も考慮する。また、サブプ−ル水も
放射性なので炉頂床面にポリエチろ紙を敷くなどして
汚染させないよう十分注意する。照射後の試料は、
通常の場合、誘導放射能の減衰を待って、サブプ−ル水中
より空気中へ引き上げ、キャットウォ−クを通って移動させる。
このため、運搬手段も実験計画の中で考慮する必要がある。


5−d.異常時の処置


異常事態発生の場合は、直ちにKUR運転班員、
中央管理室、設備担当者に連絡し、その処置を依頼する。

KUR運転班員(Tel:2340) 中央管理室(Tel:2400



図5−2傾斜照射孔カプセルの例

5−e.照射の条件


1)試料容器

材質: ポリエチレン
寸法: 内径:70mm
長さ:110mm
保管場所 :ホットラボ準備室







試料容器は約8m長のアルミニュウム線と
タコ糸の両方で釣り下げられるようにする。
試料容器はアルミニュウム製のものを使用
してもよいが誘導放射能に注意する。
おもりの高純度の鉛粒はホットラボ準備室にある。
照射時間については、特に制限はない。


5−f.その他


実験終了後はすみやかにサブプ−ル内とその近傍を片づける。
なお、自分の実験に関係の無い機器、物品には触れないよう注意する。