14.中性子導管(E−3,B−4)


14−a.構造及び特徴


中性子導管とは、炉心付近から炉室外へ低速中性子を効率よく取出すための装置
である。これは、表面にNi薄膜(E−3)またはス−パ−ミラ−(B−4)を
蒸着した板ガラスでチャンネルを作り、それをわずかに曲率を持つように組み合
わせて導管としたもので、低速中性子はこの中を反射しながら透過してくるが、
高速中性子、熱外中性子及びγ線は反射しきれがに途中で遮蔽材に吸収されて
しまうように作られている。この導管の緒元は次のとおり。

表14−1導管の主要緒元

E−3 B−4
導管の長さ 10.8m 11.7m
特性波長 2.8Å 1.2Å
導管の断面 10mm(w)x74mm(h) 10mm(w)x74mm(h)
中性子束 2x106n/cm2/sec 2x107n/cm2/sec
スペクトル 主に冷中性子(図14-1) 主に熱中性子(図14-2)



14−b.使用状況


E−3のNiミラ−中性子導管では中性子光学実験、(n,γ)実験及び、
(n,γ)反応によるホウ素の定量実験などが行われ、B−4のス−パ−ミラ−
中性子導管では核分裂実験、中性子光学実験、中性子非弾性散乱実験、DBR
などが行われている。


14−c.実験


どちらの導管も基本的に導管実験室において、熱中性子ビ−ムを利用する実験を
行う。Niミラ−導管は実験前に導管内部の空気をHeガスに置換する必要が
あり、ス−パ−ミラ−導管は導管内部を真空に引く必要がある。


14−d.異常時の処置


異常事態発生の際は、速やかに導管出口をホウ素又は、リチウムなどの中性子
遮蔽材で遮蔽して中性子ビ−ムを止め、所内の当番担当者に連絡する。


14−e.実験の際の注意


どちらの導管においても、実験開始時に実験装置周り及び炉室内の導管遮蔽体
上でのγ線及び中性子線量の測定を行って所定の用紙に記入し、あわせて中性子
捕獲放射線占有区画の設定の確認を行う。

図14−1
Niミラ−導管の代表的スペクトル



図14−2
ス−パ−ミラ−導管の代表的スペクトル