広島原爆試料(Cu)を用いた中性子線量の見積もり

 

1945年8月6日 日本時間午前8時15分、広島で原爆が爆発しました。この爆弾からは熱と爆風に伴い、ガンマ線や中性子線といった放射線が放出されました。もちろんこれらの放射線は人体、環境へ大きな影響を与えました。我々は放出された放射線のうち、特に中性子線の線量を見積もる試みを行っています。中性子線によって銅製品中に生成する63Ni(ニッケル63)の量を測定すれば、どれくらいの中性子線量があったのかを見積もることができます。(参考: 広島原爆被曝試料について)

* 中性子線により生じる銅試料中の63Ni *

HAB1.jpg (21780 バイト) HAB2.jpg (27537 バイト) HAB3.jpg (26810 バイト)
1 天然に存在する銅(Cu)の中には質量数の違う63Cuと65Cuが約7:3の割合で存在している。 2 この銅に中性子線があたると、ある確率をもって63Cuが中性子と反応する。 3 中性子と反応した63Cuは陽子を放出し、63Niになる。 [ 63Cu + n -> 63 Ni + p ]

* 銅試料からのニッケルの分離 *

63Niがどれくらい生成したかを調べるために、銅試料中のNi成分を化学的に分離・精製します。

Ni-chem.gif (15311 バイト)

* 63Niの定量(量を見積もる) *

63Niは100年という長い半減期で弱いベータ線を放出します。
我々は63Niの生成量を見積もるために、このベータ線を液体シンチレーションカウンターを用いて測定しました。

LS.jpg (56985 バイト)

液体シンチレーションカウンターによって63Niが銅試料中にどの程度生成していたかを算出し、その量からその銅試料に中性子線がどの程度あたったのかを見積もります。

得られた中性子線量は、爆心地からの距離との相関をとることにより、原爆被爆者の被曝線量の見積もりなどに活用されます。

 

戻る

柴田研究室トップページへ戻る